ジャンカーもどきの私文

ジャンク修理したり自作したり

Victor TD-V66

Victor TD-V66

f:id:changaudio:20210928221648j:plain

2019年の年度末あたりに購入したこの個体、カセットデッキが欲しいけどまずはどんな機種を買うべきだろうか…と悩んでいた時にとある人からちょうど見かけたよとおすすめしてもらったのがこのTD-V66でした。ハードオフにて2k、私にとって初めてのジャンクカセットデッキでした。

初めてのジャンクとは言うものの、こいつは動作品でした。状態は並品といったところ。中には蛾の死骸が… まあジャンクではあるあるでしょうか。

f:id:changaudio:20210928222942j:plain

第一印象は正直ちゃちだなという感じ。叩けば鳴る天板にペラペラの底板。頼りないスポンジ足… 定価だったら選ばない…かもしれません。後から気づいたのですが、こいつのアジマス調整用ネジは特殊で、調整するには刺股のような精密ドライバーが必要になります。今のところ大丈夫そうですが、アジマスがズレたら清く諦めるしか無さそうです。

f:id:changaudio:20210928223856j:plain

中身は至って普通。斜めに取り付けられたトランスと、この時期のビクターに多用された東信産業製(東信工業ではない)の電解コンデンサーが印象的。チェック中、背面にとりつけられている3つのレギュレーターの発熱が気になります。かなり熱くなるのでヒートシンクの追加とグリスの塗り直しをしました。

f:id:changaudio:20210928224304j:plain

さて、動作品なので特にやることもないのですがいい機会だったので電解コンデンサーの交換を含むリフレッシュと 魔 改 造 をしました。全部交換することもないだろと今振り返れば思うのですが、当時の私は電解コンデンサーを全て交換しています。

f:id:changaudio:20210928225022j:plain

電解コンデンサーは要所要所にオーディオ用を取り入れます。音声回路にはMUSE ESを、平滑にはKW、整流にはなんとSBDを使い、録音回路に1箇所PMLCAPを仕込みました。なんという魔改造ぶりでしょう…

f:id:changaudio:20210928225441j:plain

極めつけはこれ。スポンジ足の代わりにオヤイデの真鍮スパイクを取り付けています😳 ここまで来たら後戻りはできません…

f:id:changaudio:20210928225818j:plain

先程登場したSBDとPMLCAPですが、雑に言えばSBDは(重)低域を、PMLCAPは高域を改善します。当時の私は改善するなら入れてしまえとばかりに使っていますが、本来あまり良くありません。デッキの特性が大きく変わってしまうからです。補強された重低音で音割れもしやすくなりますしね。

f:id:changaudio:20210928230257j:plain
交換されていく電解コンデンサ

順調に魔改造を受けていきますが、一定の成果を得たものの諸刃の剣といいますか、弊害もわかってきました。PMLCAPを使ったことによって常にバイアスを浅くとっているかのような状態になります。したがって、高域molの大きい優秀なテープやソースによってはチャキチャキとうるさい高音になってしまいます。南野陽子なんて録ったら相性悪いでしょうね(笑)

f:id:changaudio:20210928232610j:plain

その代わり最近のあまり優秀でないテープには強さを発揮します。同時期に手に入れた、これまた魔改造したNECのCD-430(オペアンプをLME49860MAXに交換)と末期のAXIA A1やA2、URの組み合わせがこのTD-V66の十八番になっています。末期のテープとは思えない、素晴らしいサウンドに仕上がります。

f:id:changaudio:20210928233703j:plain

ここまで進めておいてですが、なんとタクトスイッチを無交換のままにしてしまいました🙄 この時期のVictorは確実にタクトスイッチがやられるので交換推奨にも関わらず…やってしまった。組み立てた後だったので後の祭りでした。まあ今のところ大丈夫なので、いいでしょう!

f:id:changaudio:20210928232113j:plain

TD-V66は今でもメインで活躍中です。私が治具やテストテープを持っていない都合上、録音レベルが少しズレています。またメカはノータッチです。カセットデッキは整備にテストテープや治具がないと正確な整備ができません。もう手に入らない道具も多いのでそこが1番のネックですね。いつかはテストテープが欲しいものです。

つづく